2008年2月号〜2009年11月号 大阪市都市工学センター 月刊誌「大阪人」『おおさか絵暦』絵・文の連載
路地(ろォじ)で笑う、えべっさん
年が明けて、正月気分もおさまる頃には
「えべっさん」の始まり。
今宮さんや堀川さんの近所の参道は、
提灯や露店の用意で、ザワザワと落ち着かない。
仕事終わりに、残り福のギリギリにお参りして、
しまいかけの露店の寂しい参道をぬけ
路地の小さな店に入る。
たいがいのお店では、もう新しい福笹が飾ってある。
そのネタで少し話して、酔いと共に別の話に流れる。
なんとも感じなかった事に、
年々気づき、商売繁盛を願う気持ちも増してくる。
景気やら、株価やら、社会状況やらは
知らん所で、どこぞの誰かが決めてはる。
そんな時は、えべっさん頼んますわ~
すべての路地の隅々までに、
えべっさんのパワーが行き渡りますように。
お友達の七福神さんもごいっしょに、
2008年もどうぞ、良い年でありますように。
天神さんの可愛(かい)らしい老梅
節分は、もともと四季の節目のこと。
立春、立夏、立秋、立冬の前日を言い、
今は立春の前日のみが、行事として残っている。
その頃には「天神さん」も、
春の気配と共に、梅の花がほころびる。
でも、境内は通り抜けるだけで、
その静かな姿を、つい見逃してしまう。
近所の可愛らしいおばあちゃんは、
寒くても暑くても関係なしに
毎日欠かさず天神さんにお参りしている。
でも、境内は通り抜けるだけで、
その静かな姿を、つい見逃してしまう。
道で会えば、笑ってしゃべるけれど、
ただ一所懸命に拝む後姿を
見つけても声はかけない。
寒さが極まれば、後は暖かくなる。
可愛らしい梅が、笑うように咲き始め、
誰が見ても見なくても、季節はあんじょお繰り返し、
でけたてホヤホヤの春が来る。